事例紹介

石巻赤十字病院様(宮城県石巻市)

迅速な情報把握と適切な医療スタッフの配置で救える命を少しでも多く
悪路でも乗りやすく信頼性の厚い「セロー250」ベースの災害救援活動二輪車導入

東日本大震災での教訓をふまえて、迅速な情報収集と本部への伝達、そして戦略的かつ安全な救護活動のため、2016年3月に「バイク救護隊」を結成し、マウンテントレール「セロー250」ベースの災害救援活動二輪車(以下、救援セロー)を導入された石巻赤十字病院様に活動の様子をうかがいました。

導入背景 - 動ける人が動いて積極的に救護し救える命を増やしたい

「搬送されてくる要救助者を病院で待ち受けているだけでは、助けられる命も救えません。東日本大震災の時、警察の人も消防の人もみんな被災者でした。全身真っ黒になって救援活動にあたっていた消防隊員の姿が今でも脳裏に焼き付いています」と話すのは、この春、石巻赤十字病院で結成された「バイク救護隊」の発案者のおひとり、看護師の高鷹秀一さん。東日本大震災時、まったく情報が取れなかったことから、石巻赤十字病院では、医療・救護チームから積極的に情報を取りに行くための手段として機動力の高い二輪車を導入しました。

災害救援係長の高橋邦治さんによると「被災初動時、ある医療機関が水没したことに気づけず、救出が間に合わずに亡くなられた方がいらっしゃいました。拠点病院には全国からさまざまな医療・救援チームが支援に駆けつけてくれますが、現場の情報を正確に把握していなければ、どこにどれだけ派遣すべきか判断できませんし、国や県に必要な支援要請もできません。また、四輪車では走行が困難でも二輪車であれば可能な場面も多いですので、現場の正確な情報を真っ先に取りにいく手段としてとても有効だと考え導入に踏み切ったのです」
現在「バイク救護隊」には、事務職、看護師、ドクターなど救護班に登録されているスタッフのうち、二輪免許を保有している希望者20名が参加されているそうです。

「バイク救護隊」の隊長でありお話を伺った石巻赤十字病院 災害医療研修センター長補佐 災害救護係長 高橋邦治さん

バイクに乗る仲間とともに「バイク救護隊」を発案した看護師の高鷹秀一さん

「救援セロー」を選んだ理由・その1 - 誰もが乗れる安心感と走破性

「バイク救護隊」が2016年3月に正式に結成されるまでは、病院のバイク部を中心に、有志が自家用車を持ち寄って活動していたそうです。しかし排気量や車種によっては、乗り手を選ぶモデルも。そこで今回二輪車を導入するにあたり、災害時など車では入って行けない悪路を走行することを前提に、まず走破性の高さを重視して、オフロード車両に絞り込み。さらに普段からバイクに乗り馴れていない人や初心者でも安心して乗れるよう、比較的足着きが良く軽くて取り回しやすいフレンドリーな車両として「セロー250」に白羽の矢が立ったそうです。

「2台体制で行動できると、より安心・迅速に救護活動に取り組めるんですけれどね」とおしゃっていました

「救援セロー」を選んだ理由・その2 - ロングセラーモデル&多様な導入先実績による安心感

そして1985年の発売以来30年以上にわたって売れ続けているロングセラーモデルであり、加えて消防、警察などにセローをベースとした特殊車両の導入実績があることから、「救援セロー」の導入に至ったのです。
「ロングセラーならではの信頼性と耐久性、そして現場での使い勝手を考慮した救援専用設計というのも決め手のポイントでした」と高鷹さん。

積載性に加え物の取り出しやすさも使い勝手の良さのひとつだそうです

導入成果 - 熊本の被災地へ救護班とともに「救援セロー」も派遣

3月に「救援セロー」が導入された直後に起こったのが熊本地震でした。石巻赤十字病院では、「東日本大震災で得たノウハウを生かして救護活動に取り組み、たくさんいただいた支援の恩返しをしていきたい」と救護班を即時派遣。「救援セロー」も一緒に現場に送られ、現地の災害対策本部で情報収集や物資輸送に活用いただきました。
「安心して走行できました。車で入っていけないところも多々あり、二輪だからこそのフットワークの良さを実感。特に向かった先が通行止めというケースも多く、そんな時、気楽にUターンして引き返すことができました。しかもこの通行止めの箇所が毎日変わるんです。そのアクセス情報のアップデートが救援セローだと迅速に行えました。また医薬品の配送にも使ったのですが、通行可能な道路に限りがあるため支援の車で渋滞も頻繁に起こります。そんな時も機動力の高さが活きました」と熊本に飛んだ高橋さん。

二輪車を正式に配備している医療機関は全国でも珍しく、先例が少ないため導入に二の足を踏んでいる病院も少なくないそうです。
「当院は通常の医療業務に加えて、自転車イベントやマラソン、駅伝など、地域イベントの救護活動にも積極的に参加しています。こうした地域密着イベントでも救援セローを積極的に活用してその有用性を実証しアピールしていくことで、バイクが好きなドクターや看護師などの医療従事者が当院に集まり、さらに二輪車を導入する病院が増えたらいいですね」(高橋さん)
二輪車導入の先駆け病院として、石巻赤十字病院「バイク救護隊」のこれからの活動にも注目していきたいと思います。

現地のみなさんと協力しながら救援活動を進める中で、色々な方に災害救援セローを使っていただけたのも足着きが良く取り回しやすいセローだからこそ

平時は駐車場で待機状態の救援セロー。維持費の安さやメンテナンスの容易さもアピールポイント

User Voice乗りやすく迅速な救護に最適。バイクのカッコよさで医療従事者増員にも貢献!?

「バイク救護隊」を発案し自転車イベントでも救護ライダーとして出動した看護師・髙鷹秀一さん

「一昨年くらいから有志が集まって、自分たちの車両を持ち込み自転車イベントの救護活動に参加しています。救援セローが導入されるまでは、自分のYZF-R6で活動していましたが、前評判以上にセローはものすごく乗りやすいですね。またサイドバッグやリアボックスなど、収納力も高く取り出しやすいんです。これまでリュックサックなどに荷物を詰めて背負っていましたので、とても動きやすくなりました。
イベント時、“バイク救護隊”としての任務は、本部の要請を受けたらいち早く要救護者のところに駆けつけ、現況を本部に連絡し、状況に応じて迅速に対応すること。身軽に動けるツールとして救援セローはとても使いやすく頼もしいです。

“バイク救護隊”については、若い医療従事者を増やす策の一環として若手の声を聞く会があり、先の大震災での経験もありますし、バイクを使った救護は珍しいことから、仲間とともに発案したんです。先日も地域活動の一つとして子どもたちの夏休み宿泊イベントに呼ばれていったのですが、『バイク、かっこいい!』と大人気でした。実際にバイクの機動力が現場で活かされるとともに、“バイク救護隊”の活動が広く知られることで、当院で働いてみたい!と思ってくれる若者が増えるといいなと思っています」

お客様プロフィール -
石巻赤十字病院様

大正15年に創設された90年もの歴史を誇る、宮城県北東部の高度医療を一手に担う中核病院。東日本大震災の際は石巻地域で唯一の災害拠点病院として大きな役割を果たしました。「東北一活気のある病院」の達成というビジョンの下、現在医師140名、看護師530名、総数1,100名が質の高い医療提供に従事しています。

ホームページ: http://www.ishinomaki.jrc.or.jp

導入車両 - 災害救援活動二輪車

1985年の発売以来、オフロードモデルとしては低目のシート高、低中速域でのトルク感、シンプルな車体などによる優れた走破性能や扱いやすさが支持され、ロングセラーモデルとなっている「セロー250」をベースに、収納力と悪路走破時の快適性を向上させるアクセサリー、そしてバックアップ電源装置を搭載しています。

■災害救援活動二輪車の詳細は:
https://www.yec.co.jp/products/fire /disaster.html

  • 右サイドバッグには、メインバッテリーが万が一上がってしまった場合でも始動できるようバックアップ電源装置を搭載

  • 電源装置にはシガーソケットやUSBジャック(非付属品)をさせるので、無線機や衛星電話などの電子機器が接続できます(電源はメインバッテリーを使用)

  • メインバッテリーを最適な状態に保ちバッテリー上がりを抑止する「バッテリーキーパー」も備えています。またメインバッテリーは家庭用100Vコンセントで充電可能です

    メインバッテリーを最適な状態に保ちバッテリー上がりを抑止する「バッテリーキーパー」も備えています。またメインバッテリーは家庭用100Vコンセントで充電可能です

  • サイドバッグと収納・着脱性に優れた大容量47Lのリアボックスを備え収納力をアップ

  • 高さ約30センチの大型スクリーンに軽量で柔軟性も兼ね備えた大型ハンドルガード、そして消費電力を抑えながら照射光6,000ケルビン仕様のLEDフォグライトを装備

  • 不整地走行時の飛び石などからエンジンへのダメージを軽減するアルミ製アンダーガードも

【2016年9月取材】

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