事例紹介 番外編

静岡市オフロードバイク隊様(静岡県静岡市)

交通や通信が分断された“もしもの現場”で
乗りやすく扱いやすいセローの機動力が活きる

災害発生時に厳しい路面上で機動力を発揮するオフロードバイク「セロー」を出動時の主力装備として30台導入されている静岡市オフロードバイク隊の合同操縦訓練にお邪魔しました。

訓練模様

2016年7月30日(土)静岡県静岡市の安倍川において静岡市オフロードバイク隊の合同操縦訓練が実施されました。静岡市オフロードバイク隊に加えて川根本町オフロードバイク隊、静岡市消防局、陸上自衛隊を含め総勢45名が河川敷に集合しました。
ヤマハ発動機はこの操縦訓練を長年支援し、本年度もYRA(ヤマハライディングアカデミー)チームが講師として参加しています。4月に発生した熊本地震へ静岡市オフロードバイク隊は派遣され、静岡市職員で実施した避難所の支援活動における事前の情報収集を展開しました。その際に有効だった情報収集用のタンデム走行や丸太に乗り上がるフロントアップなどが訓練にさっそく取り入れられています。

タンデム走行は一本橋、サイドワインダー、8の字走行での訓練を行った。操縦方法の確認に加え、危険個所の情報収集を迅速に行う観察の訓練もより安全に走行するために実施

体に覚えさせるようにフロントアップ訓練は反復された。スロットルの開閉のタイミングや適切な顔のポジショニングなどコツをYRA講師が説明した

プロフィール : 静岡市オフロードバイク隊様

静岡市職員によって構成される静岡市オフロードバイク隊。阪神淡路大震災が契機となって20年前に発足され、地震などの緊急災害に備え年間10回以上の訓練を行っています。
現場での主たる任務はバイクでの初期情報の収集および伝達。東日本大震災など県外の災害にも派遣され、仙台市における静岡市現地本部としての活動や被災地の情報収集業務などを展開しました。
積み重ねた災害対応実績と訓練で培ってきた機動力で、バイク隊としての有効性を高め、県内外からの注目が集まっています。

静岡市オフロードバイク隊の隊員数は36名。主力装備としてセローを30台保有している。愛称は「SCOUT」。Shizuoka City Offroad Utility Team の略称

導入背景 : 阪神淡路大震災の現場におけるバイクの高い機動性

お話を伺った静岡市オフロードバイク隊指導部・安本治之さん。元自衛官である経歴を買われ、1995年の阪神淡路大震災の現場へ派遣されたのは震災発生直後。半年間の現場活動を経て、災害時の情報収集活動で最も有効なツールはバイクであると報告されました

「通信や交通が分断されたとき最も機動力があるのはバイクです。阪神淡路大震災の現場で、渋滞をすり抜け、荷物や人を運ぶ二輪車の高い機動性を発揮するのを見て、防災対策での必要性を感じました」と語るのは指導部の安本治之さん。
震災の翌年、行政として日本初の静岡市オフロードバイク隊が発足しました。
「静岡市は中山間地が8割を占めます。そのような静岡市の災害対策を考えたとき、山の中に入ることが可能なオフロードバイクが必要でした」と安本さんは続けました。

セローを選んだ理由 : 信頼感1(ロングセラーと導入実績)

「我われは主力装備としてセローを使っています。その理由として第一にあげられるのはセローがもつ信頼感。その信頼感はロングセラーであることに加え、情報収集用として静岡市消防局、国土交通省静岡国道事務所、三島市バイク隊など多くの導入実績が証明していると思っています」と指導部安本さん。1985年の 誕生以来長く販売をしているセローですが、近年は消防活動二輪車(通称:赤バイ)としてさまざまな自治体に採用されています。

合同操縦訓練に参加した静岡市消防局や川根本町オフロードバイク隊もセローを導入している

セローを選んだ理由 : 信頼感2(足つきの良さと軽さ)

お話を伺った関本早苗さんは静岡市オフロードバイク隊唯一の女性隊員

「陸上自衛隊との定期訓練では、舗装されていない斜面を走行します。そんな時でもセローは足つきがよくて、スムーズに乗れます。入隊して以来長くセローにのりつづけていますので、安心して訓練に臨めます。訓練で転ぶことはありますが、そんな時は車体が軽いので自力で起こしています。安心感があって長年連れ添った仲間だと思えるようなバイクです」と語るのは女性隊員の関本早苗さん。訓練以外ではバイクには乗らないそうですが、セローの扱いやすさや乗りやすさを信頼していただいていました。
「今回はヤマハの講師の方からフロントアップのコツなども教えていただきました。いつも基本操作を復習してから技術の高いことを教えてくれる。この操縦訓練をいつも楽しみにしています」と続けました。基本操作がしやすく、技術の高いことも扱える、そんなセローの機動力をヤマハの講師によって、再確認していただきました。

被災地支援活動・その1 : 東日本大震災では2か月の長期支援

東日本大震災時は迅速に静岡市内の安全確認を行い震災後4日後には現地入り、その後仙台市青葉区に現地本部を設けて被害情報収集活動を静岡市オフロードバイク隊は展開しました。セローを活用して行われた情報収集は岩手県の久慈市から福島県南相馬市までの南北約500kmという広範囲に及んでいます。被害情報収集活動を中心に、静岡市現地本部としての活動や静岡市職員による避難所運営支援も行い活動は2か月の長期支援が実施されました。

セロー4台を効果的に活用し走行調査を行った。静岡市現地本部活動も精力的実施

気仙沼市・南三陸町での被災地現地調査。調査では災害時に発生する課題なども収集

被災地支援活動・その2 : 渋滞の道路でバイクが機動力を発揮

熊本地震ではトラックに2台のセローを搭載し、静岡市の先遣隊として活動を開始。大渋滞の道路の中、バイクの機動力が力を発揮。車では3時間かかる道路がバイクでは15分しかかからなかったそうです。また陥没した道路や倒壊した家屋がある細道など車での進入が厳しい場所でも活動を行いました。二人乗りでのカメラ撮影なども行い、貴重な映像が数多くとれたそうです。

道路の断裂箇所が多く、車では進入が困難な場所へ入り、被災地現地調査活動を実施(熊本市益城町)

家屋に加えてブロック塀・石垣が倒壊し、細くなった道路(阿蘇郡南阿蘇村)

展示車両 : 災害救援活動仕様のセロー

今回の合同操縦訓練で、災害救援活動仕様のセローが展示されました。静岡市オフロードバイク隊をはじめとしたさまざまな災害の最前線の方々へのヒアリング結果をもとに開発されたモデルです。
搭載されたサブバッテリーは季節を問わず、バッテリーへの不安の解消となります。また通信機器を充電できるシガーソケットは緊急事態では効果を発揮。
「いつ起こるか分からない災害救援にはバッテリー対策は必要」「情報収集や発信に必要な通信機器の充電の手間が省ける」今回展示された車両を前に、実務を想定した所感が挙がるなど、展示された災害活動救援仕様のセローは注目を集めました。

  • 総積載重量14kgとなるリアキャリアとサイドバック

  • サイドバック内のサブバッテリー電源供給用のシガーソケット

  • 家庭用コンセントからメインバッテリーを充電可能なプラグインプット

【2016年7月取材】

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