事例紹介 番外編

KDDI様&東京電力リニューアブルパワー様
合同オフロード講習会開催

安全に迅速に万が一の現場に急行するため、オフロードの基本テクニックを習得

訓練の様子

オフロード講習会に参加されたみなさん

オフロード講習会模様

マウンテントレール「SEROW250」ベースの災害救援活動二輪車(以下、救援セロー)を導入いただいているKDDI株式会社様と東京電力リニューアブルパワー株式会社松田事業所様からのご依頼を受けて、当社安全普及推進本部では、東京電力リニューアブルパワー様の菅沼発電所にて合同オフロード講習会を開催しました。

両社ともに災害発生時など、携帯電話基地局や発電施設といったライフラインに欠かせない設備に問題が起きた際、現場に安全にいち早く駆けつける移動手段として救援セローを導入しています。早く安全に運用するにはライディング技術の向上が欠かせないこと、また今年の春から救援セローを導入したKDDI様では、オフロード走行の基礎を改めて確認し、経験値を上げたいと、レッスンを行いました。

レッスンの内容は、初心者やリターンライダーを対象としたバイクスクール「ヤマハライディングアカデミー(YRA)大人のバイクレッスン<https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/yra/otona/>」のオフロードレッスンで行っているメニューがベースです。

参加された皆さんは、日頃オンロードバイクに乗り慣れていること、また非常時は悪路走行が想定されることから、ハンドル幅の広いオフロード車に合わせたライディングポジションやマシンをホールドする大切さ、スタンディング走行やリーンアウトの姿勢、重心位置を意識した上り下りのフォームなど、不整地走行の基礎をレッスンしました。

なんてことないコーナーリングやブレーキングも、路面が未舗装路だと感触やバイクの挙動が大きく異なります。同じ動作を舗装路と不整地と交互に走ってもらうコースを設定し、オフロード路面の滑りやすさを改めて体感いただきました。

「滑りやすい路面では、アクセルワークもブレーキも、とにかくていねいな操作が求められます。多少ラフな操作をしても舗装路であればタイヤのグリップに助けられ乗れてしまうような場面でも、オフロードではそうはいきません。
路面状況を把握して、低速で繊細な操作ができるようになれば、イレギュラーな場面でも慌てることなく、安全に走行ができると思います。今日の講習が、バイク隊のみなさんの活動に少しでも役立つと嬉しいですね」とは、指導にあたったインストラクター。

途中、恵みの(!?)大雨に見舞われ、舗装路ですら滑りやすい、絶好の練習環境になってしまいましたが、ブレーキングにコーナリング、低速バランスや上り下り走行、そしてまとめの総合走行と無事に講習会は終了しました。

雨に降られ滑りやすい路面状況の中、スタンディングやリーンアウトといった、いつもとは異なる乗車スタイルで、慣れないオフロード車に丸一日乗っての講習でしたが、講習会を終え、達成感に満ちた皆さんの笑顔が印象的でした。

当社では、ヤマハ製品を「安全に」「楽しく」「正しく」、また「役立つように」お使いいただくため、製品の販売とともにオプションで安全運転普及活動をセットでご提案しています。一般のお客様に向けての一つが、「YRA大人のバイクレッスン」であり、法人のお客様に向けては、個別の事例・ニーズにあわせて使い方の講習や安全運転教室などを提供しています。

Special coments

今回の合同オフロード講習会発起人である、KDDI株式会社エンジニアリング推進本部運用管理部ネットワーク強靭化推進室・遠藤 晁さんにお話を伺いました。

緊急時の迅速な移動ツールとして救援セロー導入
自然災害などで、携帯電話の通話ができなくなった際、原因探求のために基地局に向かうのですが、基地局は山の中腹部や山頂に設置しているケースが多く、崖崩れや倒木のために車が通れない場合、これまではとても原始的ですが、ザックを背負って徒歩で向かっていました。
人の足による現場調査は、あまりにも非効率。応急処置のための機材を背負っての山登りですので、時間もかかるし負担も大きいことから、災害現場で自衛隊や消防の方がオフロードバイクを活用していることを知り、当社でもオフロードバイクの導入を検討することにしたのです。

救援セロー導入の決め手は、まず、非常に低速で足をつきながら歩いてでも走れる“二足二輪”が可能なこと。災害現場は非常に地面がぬかるんでいたり砂利だったりするので、低速時のエンジンが粘ってエンストしにくいこと、足つき性が良いこと、車体が何よりも軽いこと。そして空冷エンジンでつくりがシンプルで壊れにくく、メンテナンスも容易で修理もしやすいのではないか、という観点からセローに決めました。

安全・迅速に任務を果たすにはスキルアップが必須
車両を導入したものの、現場に安全に急行して状況を確認し、確実に帰って来られるスキルを身につけないと、自分たちが事故を起こし、二次災害になってしまいます。緊急時に確実に安全に任務を遂行するためには、オフロードの基礎技術を学ぶ機会が必要だろうと考え、何かないかと検索していたときに、たまたま東京電力リニューアブルパワー株式会社 松田事業所さんの事例<https://www.ymsj.jp/b2b/user-voice/010/>に遭遇。日頃どういうトレーニングをしているのかなど、バイク隊発起人の加藤さんに相談したところ、「よかったら一緒に訓練をやりませんか?」という提案をもらい、「ぜひ、お願いします!」と今日の合同講習会開催に至りました。

夢は人材を育成し全国の主要事業所にバイク隊を配備
当社では、この4月に救援セロー4台を導入したばかり。これから使いこなせる人材を育成し、人材がいる事業所に車両を配備していく予定です。当面は、私が所属する新宿事業所にて管理、万が一災害が起こった場合には、その現場に車両を送って使ってもらう方向で考えています。将来的には全国的に配備したいというのが夢ですね。

こうした取り組みには一定の理解や仲間がいないと広がらないと思ったので、今回の合同講習会には、全国的に賛同者を募って、北は北海道から西は岡山、四国から参加してもらいました。全国からどれだけ集まってくれるか分からず、当初は不安でした。
みんなバイクが好きで日頃はオンロードバイクに乗っているメンバーです。でもオフロード走行には不慣れで、しっかり走れるか不安いっぱいでしたので、講習の終わりにインストラクターの方から「みなさん上達しました!」という講評をいただき、企画した立場としては非常に嬉しく思っています。定期的にこうした訓練を続けて行きたいですね。
今日参加してくれた仲間には、今後もオフロードバイクに興味を持ってもらい、それぞれの事業所に戻って講習の内容を思い出してスキルをどんどん高め、この活動を広めてくれたらと思っています。



日頃の訓練について遠藤さんが相談を持ちかけた東京電力リニューアブルパワー株式会社松田事業所 総括グループ 加藤 和夫さんにも伺いました。

日頃から自主訓練を実施
インストラクターによる指導は技術向上のみならず第三者視点での安心感に

当事業所では、災害時に迅速かつ的確に水力発電所などの状況を把握する手段の一つとして救援セローを導入しました。基本的な技量や運転マナーを有しているかを確認する「業務上認定試験」の制度を制定し、救援セローで活動するバイク隊を安全最優先で運営しています。さらに日頃から事業所内に訓練用のコースを設け自主的に練習も重ねています。

とはいえ、あくまでもバイク好きな素人が指導しているので、今回インストラクターの方からきちんと教わることができて、とても有益でした。今日学んだ、無理なくマシンをコントロールする方法が身につけば、疲労少なく乗れるので、非常時に動きやすくなると思います。また、インストラクターから正しい指導を受けていることで、バイクに乗らない人から見た時の安心材料にもなると思います。

当事業所が救援セローを導入した背景の一つに「ヤマハさんの安全運転啓発活動・YRA(ヤマハライディングアカデミー)」の存在がありました。遠藤さんからトレーニングの相談を受けた時に、10人以上の人数がまとまればYRAのレッスンを依頼しやすいのではないかと思い当たり、ヤマハさんに相談。オフロードバイクの販売・メンテナンスだけでなく、バイクの正しい乗り方・扱い方の指導まで含めて提供してもらえるのは安心ですね。

安全最優先の運営に受講内容を活用
当然のことながら訓練でできないことは、本番でもできません。とはいえ、訓練でできることでも、実際の現場では、路面状況や天候、安全マージンを考慮する必要があります。
災害時の実働の際には、道路状況を確認しつつ現地へ移動し、発電所内外の確認を行いますが、なにより怪我無く、無事に必ず帰ってくることが最優先です。
今回指導いただいた内容を繰り返し訓練して身に着け、隊員全員が意識せず自然に操作できるようにし、安全最優先の運営に活かしていきたいですね。

オフロード講習会参加者コメント

オンロードとは何もかも違ったオフロード体験練習を重ね、バイク隊としての活動・人材を拡大したい

KDDI株式会社西日本運用本部西日本支社 広島フィールドグループ・長村 伸宜さん

台風の時など、現場に出向くのですが、途中、土砂崩れで通れないことがあります。小規模であれば、土砂が道を塞いでいる距離は、10mとか20mほどで、その先は通行できそうなのです。このわずか10m、20mの距離を、車では無理でも、バイクでクリアできれば……とずっと思っていました。

普段はオンロードバイク(ヤマハFZ1)に乗っています。オフロードのテクニックを磨こうという企画があると聞いて、自分が好きなバイクに乗るスキルを活かせるのであれば、ぜひに!と参加しました。

オフロードはどうやって走るのか、よく分かっていなかったので、今日は一つでも多く学んで帰ろうという目標を持って参加しました。アクセルワークもバイクのホールディングの仕方も何もかも、オンロードバイクとは全然違いました。リーンアウトというライディングフォームも生まれて初めて。できる、というレベルではありませんが、10回に1回くらいは気持ちよく乗れた感じがあるので、この精度を高めていきたいと思います。
今日の講習は、オフロード初心者が体系だってきちんと教わる機会としてとても良かったです。周りに少し目を配れるくらいのゆとりはできたように思います。今後も講習機会があれば練習を重ね、バイク隊としての活動を広め、仲間も増やしていきたいですね。

オンロードとは全然違う挙動をするオフロードバイクの面白さに、個人的にセカンドバイクとして欲しくなってしまいました。仕事できたはずなんですけどね(笑)。



オフロード講習受講で自信に安全にいち早く駆けつけてこそバイクの機動力が活きる

東京電力リニューアブルパワー株式会社松田事業所 発電保守グループ・北井和義さん

初めてのオフロード走行は、難しかったですね。お昼過ぎくらいからだんだん操れるようになってきたのが、喜びでした。 災害時には、荒地、不整地をバイクに乗っていかなければなりません。今回のオフロード講習を受けたことで、少し自信になったように思います。

機動力というバイクの魅力が活きるのも、安全に現場に駆けつけてこそです。水力発電所は災害に備えて設備的な対策や、災害発生を模擬した防災訓練など、必要な災害対策を行っていますが、何事にも想定外を考慮する必要があります。公衆災害のリスクが1%でもある場合は、その回避が最優先ですので、現況を速やかに確実に確認できるよう、日々努力を続けていきます。
これからも自然の恵みである水を一滴も無駄にせず、発電に繋げていきたいと思っています。

日頃の業務の中で訓練のためにバイクに乗ることがあります。バイクを運転することがすごく好きなので、業務としてバイクに乗れることは、すごく楽しみでもあります。自分の好きなことが、役に立つのも嬉しいですね。

【2021年6月取材】

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