事例紹介

東京電力リニューアブルパワー株式会社 松田事業所様(神奈川県足柄上郡)

慢性的な渋滞を回避し機動力にも長けた災害救援活動二輪車を平常業務の効率化と災害時の迅速な初動対応に活用

災害時に迅速かつ的確に水力発電所の状況を把握するため、マウンテントレール「セロー250」ベースの災害救援活動二輪車(以下、救援セロー)2台を2019年5月に導入し、バイク隊を結成された松田事業所様にお話を伺いました。

導入背景 - 峻険な山と観光地に近い都市部という立地柄、渋滞に悩まされない移動手段が欲しい

東京電力リニューアブルパワー株式会社松田事業所では、静岡県小山町と神奈川県山北町、南足柄市、箱根町の1市3町内15カ所の水力発電所を管理しています。管内には、箱根などの観光地があり、週末ともなると事業所周辺の東名高速道路や国道246号線といった主要幹線道路は慢性的に渋滞。時に東名高速道路が事故などで通行止めになると、近くの国道や県道が迂回路になるため、渋滞はさらに悪化してしまいます。

また、東名高速道路や国道246号線などの主要道路は、大規模地震が発生すると交通規制がかかる緊急交通路指定想定路となっており、災害が起こると一般車の通行に規制がかかります。松田事業所の車両は「緊急通行車両等事前届出書」を提出しているので、所定の手続きで緊急交通路指定想定路の走行は可能となりますが、そこまでの道で既に渋滞が発生すると想定しています。
そのため業務車両の移動は困難を極めることから、「機動力に優れる二輪車を」「手軽なところで原付スクーターを活用したい」という声が事業所内では以前から上がっていました。しかし、安全面も含め運用体制の確立に悩み、実現できずにいたそうです。

お話を伺った松田事業所長 進藤 裕一さん

そんな折、2010年9月、台風9号により、発電所の浸水や取水堰の損傷など、甚大な被害に見舞われてしまいました。復旧にあたって、四輪車で通常10分ほどの道のりを2時間かけて移動した、という記録が残っているそうです。

このような災害に備えて松田事業所では、監視カメラの設置や発電所の運転・停止の自動化、制御・通信回線の多重化など、設備的な対策はもちろん、災害発生を模擬した防災訓練など、必要な災害対策を行っています。しかし「想定外のことが起こっている可能性があります。公衆災害のリスクが1%でもある場合は、その回避が最優先。現況を速やかに、確実に、確認し対応することが、電力会社の責務です」と松田事業所長・進藤 裕一さんは言います。

そこで悪天候や災害時「高速道路が通行止めになり、国道や県道に不通区間が生じ、渋滞が激しい」状況下で、現場に急行する手段として、「最寄駅から自転車や徒歩(災害時は電車が運休)」、「車両不通区間から自転車や徒歩(実績として10分の距離に2〜3時間かかる)」、「民間企業などに依頼してヘリで移動(ヘリポートが遠い)」など、いくつかの手段を検討。そのなかで最も有効と判断されたのが「二輪車」でした。

水力発電所は、御殿場方面の国道246号線沿に10カ所、箱根方面に5カ所の合計15カ所ある

ヤマハを選んだ理由 - 子どもやペーパーライダーが乗れるようになる、YRAの指導ノウハウ

ちょっとした土砂崩れや倒木などがあっても、人が通れる幅があれば、二輪車は通行できます。また災害時など、道路の状態が悪い時には降りて押し歩きができるなど、二輪車の有用性は誰しもが認めるところでした。しかし以前から二輪車の導入が検討されながら実行されなかった背景には、安全運転のための訓練方法が確立されていなかったからでした。

今回、ヤマハ車を採用するに至った理由のひとつには、「ヤマハの安全運転啓発活動『YRA(ヤマハライディングアカデミー)』の存在が大きい」と、バイク隊の結成に尽力された加藤 和夫さんは言います。

「私の妻や子どもが、たまたまYRAの大人のバイクレッスンと親子バイク教室に参加。付き添いで見学していましたが、指導内容がとてもわかりやすかったんです。免許取得以来恐る恐るバイクに乗っていた妻や、免許のない子どもが、すっかり乗れるようになったヤマハの指導方法やカリキュラムが運用の参考になると思いました」

なお、車種の選定においては、原付から大型二輪までを検討。有事には高速道路の使用もあることから250ccとし、悪路走行に対応し、足つき性に優れ、チューブレスのリアタイヤや発売以来35年という信頼性などから救援セローを選択されたそうです。

二輪車の有用性を説き、運用体制の構築や日頃の訓練方法など、バイク隊の承認にこぎつけるまで奮闘した松田事業所 総括グループ 加藤 和夫さん。愛車はXJR1300とセロー250

活用方法

平常時は、設備の点検・確認作業の移動手段
狭隘道路や未舗装路の走行が可能で高効率

水力発電所は、河川の水を高いところから落として発電し、水を川に再び戻すので、河川の水を発電所へ取り入れる取水設備や発電所から水を河川に戻す放水路周辺の状況把握が欠かせません。もともと災害時の初動を迅速・確実に行うために導入した救援セローですが、こうした設備の点検や確認作業などの日常業務にも活用されています。
設備は河川に近いので、道は狭く、時には未舗装路の場合もあります。四輪車では、対向車とのすれ違いや車両駐車場の確保、Uターンや切り返しなどに時間と手間がかかってしまいます。そんな環境下でも救援セローは、手軽にUターンしたり、スムーズに走行できるので、作業時の効率が格段に高まったそうです。

災害時は、真っ先に現場に駆けつけ設備トリアージ
バイク隊が3時間のところ四輪車部隊は9時間

救援セローを導入して半年ほど経った2019年10月、関東・甲信地方や東北地方などで記録的な大雨を降らせた台風19号が発生。河川が規定値以上に増水したため、15カ所全ての発電所は自動的に停止しました。台風が通り過ぎるのを待って、設備トリアージとして発電所の設備や周辺の状況確認のため、加藤さんは救援セローで出動したそうです。

加藤さんが事業所を出て、御殿場方面にある10カ所の発電所を見て回り、現場の様子を撮影、設備の状況によってタグをつけて、戻ってくるまでにかかった時間は3時間。
一方、加藤さんから「大きな土砂崩れもなかったので、発電所までの道は四輪車も通れそう。ただし渋滞は避けられません」との報告を受け、同じ方面に出動した3台の四輪車は、迂回路を使っても戻ってくるまでに9時間を要したと言います。現地での作業や移動した時間帯が異なるので一概に比較はできませんが、6時間の差が出たのです。

日頃から運転技術向上に取り組み
入隊には認定試験を実施

二輪車は不安定な乗り物ととらえ、交通法規の遵守、予測運転や防衛運転に徹し、交通事故を回避するのは当然のこと、万が一の重傷率を低下させるため、エアバッグやプロテクターを着用し、車両にはドライブレコーダーを装備しています。また災害時や林道走行時は、2人1組での行動が基本。さらに発電所の遊休地等を利用して基本的な操作訓練を定期的に行うほか、社外訓練への参加など安全運行を徹底しています。

また、バイク隊として活動するために、「業務上認定試験」の制度を制定しました。10時間以上の救援セロー乗車実績と、発進・停止・旋回などの基本的な操作技術に、運転マナーが問われるのです。

「バイクが好きだからこそ、バイクに乗らない人から見ても、こういう取り組み、運用体制なら安心と判断・認識してもらえるような仕組みをしっかり構築し、安全最優先で運用しています。訓練の一環として、昨年、静岡市オフロードバイク隊の合同訓練に参加させてもらいましたが、災害対応について、生の体験談を聞いたり、他のバイク隊とのつながりができてとても良かった。適宜課題があればどんどんブラッシュアップしていきたいですね」と、これからのバイク隊のさらなる活用に意欲を見せる加藤さんでした。

隘路や未舗装路を通らなければならない、主要幹線道路の渋滞がひどい、という環境下で救援セローの効果は大きいとのこと

四輪車を止めて徒歩で行かなければならない場所でも救援セローならそのまま入っていけるケースもある

台風通過後、朝早くから状況確認を行っていた際、付近住民の方から初動の速さをお褒めいただいたそうだ

ちょっとした土砂崩れや倒木個所など、四輪車では無理でも、二輪車であれば通れることも

一般立入禁止の林道を使うこともあり、林道方面に行く場合には2人1組のバディ制で運用している

2019年7月にはヤマハが毎年サポートしている静岡市オフロードバイク隊の合同訓練に参加。その時の練習メニューやYRAカリキュラムを参考に運転操作の訓練を行っている。写真は発電所遊休地での訓練風景

User Voiceスムーズ&セーフティな移動で業務効率化!運転スキルをもっと向上したい!

日常の河川点検に救援セローを活用くださっているバイク隊の隊長、土木保守グループ・今井 功さんに使用の感想を伺いました。

1.業務時間は三分の一!?
場所によっては、入り口に輪留めやチェーンのある施設があり、四輪車を止めて輪止めやチェーンを解除→乗車して入場→降りて輪止めやチェーンを戻す、の一連作業が地味に手間でした。たいてい脇には人が通れる幅が確保されているので、救援セローであれば乗り降りせず、そのまま通行できるので、とても効率的です。

四輪車では通行できない細い道の場合、一旦、四輪車を広めの場所に駐車して、荷物を持って片道5km、10kmの山道を歩いて現場に赴き、点検・作業後にまた歩いて戻る、ということも。救援セローなら荷物も載せたまま行けて、効率的。業務時間が三分の一になった感じです。

2.狭いところでも操作しやすい
川沿いの狭い道を行くことも多く、そういう場所は大抵行き止まりです。四輪車の場合、作業終了後、バックでゆっくり戻ってこなければなりません。救援セローはその場でUターンしてしまえばいいので、スムーズです。

またUターンが容易なので、たとえ渋滞にはまっても、方向転換して抜け出せます。四輪車では進入困難であったり、通行不可能な道幅の狭い迂回ルートへ切り替えることもでき、業務の効率化に効果が出ています。救援セローは道を選びません。

3.足つき性の良さ
救援セローは、オフロードタイプのバイクでありながら足つき性が良く、車重も軽いので、もし悪路を上手に乗りこなせなくても、両足をついて進めます。まさに二輪二足で抜けることができるので安心です。

とは言え、定期的な訓練を行い、さらなる安全運行を行うとともに、非常災害時に迅速かつ安全に情報収集や初期活動が行えるよう、日々研鑽したいと思っています。安全運転に気を配り過ぎるということはありませんからね。私たち、バイク隊の活動を見て、二輪免許を取りたいとおっしゃってくださる方もいますので、手本になる運転を心がけているんですよ。

お客様プロフィール -
東京電力リニューアブルパワー株式会社松田事業所様



静岡県小山町と神奈川県山北町、南足柄市、箱根町の1市3町に位置する水力発電所15カ所で約64,000kW、一般家庭約9万件分の電気を発電しています。

バイク隊の対象者は現在8名。定期的な操作訓練や交通安全教育の実施を前提に、災害時の現場への移動用を主目的として救援セローを2019年5月から試験的に導入。

松田事業所長 進藤 裕一さん談:
「四輪車は乗車人数や荷物が多い時、二輪車は機動性を必要とする場合や少人数での現場確認等と使い分けています。松田事業所の立地特性に救援セローは有益で、導入時に想定した通りの効果を上げています。
これからも、運転スキルを向上させバイク隊の安全を第一に、有効性を判断しながら、救援セローの活用を拡大していければと思います。発電所は御殿場と箱根の2方面に点在。2人1組のバディ制で片方にバイク隊を派遣してしまうと、もう一方に向かえなくなるので、できればもう2台導入したい、と検討しているところです」

導入車両 - 「第3次排出ガス規制」に適合した「セロ−250」ベースの災害救援活動二輪車

  • 夜間走行や林道走行時に便利なLEDフォグライトキット、可倒式ミラーを装備

  • 万が一に備え、ドライブレコーダーも装着

  • 大容量47Lのトップケースには、作業用ヘルメットや安全帯、ドローン、電気作業用品など多くの荷物を載せて走行することも

  • ハンドルガードにグリップヒーターも付いているので冬場も快適

  • セル始動を確実にするバックアップ電源には、シガーソケット、USBジャックを搭載

  • 「ノーマルのセローと比較してリヤが重いのではないかと思っていたが、想像したほどでもなかった」と加藤さん

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